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2006年02月26日

「北大通信衛星地上局施設」

 北大における通信衛星を使った実験事始は、著者の研究室で1991年に通信衛星実験地上局を開局したことに遡る。当時は情報工学科棟であった3階建ての屋上に写真のパラボラアンテナが設置され、赤道上空にある通信衛星JCSATにこのパラボラアンテナのお碗を向けている。つまり、お碗の中心から垂直に線を伸ばしていくと、赤道上の通信衛星に到達する。

 アンテナの写真の背景には北大のポプラ並木が写っている。しかし、このポプラ並木は2004年秋の風台風で倒れた木が多く、往年の雄姿はない。冬にはポプラの葉が散って、幹と枝だけで一層みすぼらしい姿をさらしている。ポプラ並木のさらに向こうに桑園駅や札幌市立病院が見える。
地上局アンテナA.jpg

 通信衛星を介して北海道工業大学、北見工業大学、室蘭工業大学や本州の大学との共同研究が行われた。1998年には実験局から実用局となり、費用がかかり研究費や実用局を維持するスタッフの確保もできなくなり、2002年には廃局にした。しかし、パラボラアンテナや測定装置が置かれていた屋上のプレハブ小屋は今でも写真に示すように残っている。情報工学科棟は北大の農場と接して建っていて、農場の雪原が建屋の下に迫って写っている。手前の煙突は暖房のためのボイラー用のものである。

 実験装置も先端的であればある程急速に古くなり、かって先端的であった実験装置が使われることもなくひっそりと置かれているのは、研究環境の点からは秘境である。それはまた、景観上でも秘境の引き立て役となっている。
地上局2A.jpg

投稿者 esra : 2006年02月26日 15:25

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