« 「排雪雪山の命名」 | メイン | 「無意根山荘」 »
2006年03月01日
「豊羽鉱山」
興味を持って見ると、世の中漠然と思っていることと現実が大きく異なっているのに気づくことがある。今回札幌秘境探検で豊羽鉱山に足を延ばすことになったついでに少々調べたら、日本の鉱山はほとんど姿を消していて、金の採掘を除けば、いわゆる地底から鉱物を掘り出す唯一残っている北海道の鉱山が豊羽鉱山なのである。北海道にはもっと多くの鉱山があるのかと思っていたら二つ程度で、その一つの豊羽鉱山もこの3月には閉山する。
この鉱山が札幌市の都心部から40Kmのところにあり、政令都市札幌市の南区に鉱山があるのである。札幌は人口密集の大都会と思っていたら、南区は山だらけの、鉱山まである区であった。札幌の奥座敷と呼ばれる温泉郷定山渓からさらに山奥に伸びる道道95号線を走って豊羽鉱山に向かってみると、ここが政令指定都市札幌とはどうしても思えない。間違いなく北海道の山奥である。
山奥だけあって、定山渓あたりでは晴れていたのに豊羽鉱山付近では雪がちらついて、遠くから見る鉱山の入口あたりは写真に撮ってもはっきりしない。この入口に近づこうとするのだが、車で行く道が分からない。もっとも、鉱区への立ち入りは禁止されているので、分かったとしても近づくことはできないのだろう。仕方がないので「豊羽鉱山株式会社」の看板の架かった社屋の写真を撮ることにする。
この鉱山は銀や亜鉛の他にインジウムを産出し、一時はインジウムの埋蔵量・産出量は世界一を誇ったそうである。この原子番号49の金属はp型半導体を作ったり、液晶ディスプレイに使われたりするので、IT製品には欠かすことの出来ないレア・メタルである。それゆえ人件費の高い日本でも最後まで鉱山として生き延びて来たのであろう。しかし、鉱量枯渇のため廃鉱ということで、廃鉱の直前に駆け込みで写真を撮って来た。
会社の建物の一角には郵便局もあるのだけれど、当然ここも閉鎖となる。4年前には近くにあった豊羽小中学校も廃校になっている。校舎と思しきものがあったが、そこに通じる道は雪で埋もれて近づくことも出来なかった。豊羽鉱山が閉山となれば、この場所は人の居ない本当の秘境に変わってしまい、冬は深い雪の中に埋もれてしまうだろう。
投稿者 esra : 2006年03月01日 04:25
コメント
冬の無意根山荘。なつかしいです。私は今、49歳ですが、山で生まれ育って18歳まで居ました。当時は山に、3000人ほどいました。山荘には冬になると山スキーの愛好者でにぎわっていました。いつも、私達は山荘で遊んでいました。
投稿者 優二 : 2006年03月02日 00:31
鉱山には、独特の悲しみが漂ってますねぇ♪
目を閉じると廃校から生徒たちの声がきこえますねぇ♪
そして、豊羽鉱山のズゥーート奥に行くと真狩です。
投稿者 福本チョコ : 2006年03月01日 05:35