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2006年03月09日
「清華亭」
北8条通は北大構内の構内の縁に沿っている部分があり、この通に関して構内にある「クラーク会館」の反対側に清華亭が位置している。ちょっと分かりにくいところにひっそりとあって、観光客も最初からここを目的にして道順を調べて行かないと辿り着かないだろう。一般の人がふらりと訪れる場所でもなく、秘境に該当する観光スポットだろう。
「偕楽園」と名づけられた札幌市の最初の公園が明治4年(1871年)に造成され、その公園内に開拓使の貴賓接待所が明治13年(1880年)に建てられた。新築の翌年、明治天皇が札幌農学校を視察された際にここに休息したことから、写真のように天皇が詠んだ和歌の掛け軸が飾ってある。
清華亭は写真に示すように平屋の37坪の小さな建物で、洋風と和風の両方を兼ね備えている。1961年から札幌市の「有形文化財」に指定されている。偕楽園の方はかっては広い敷地があって、清華亭はその一部分を占めていた。現在は清華亭の周りに残る少しの敷地が偕楽園の名残で、その周囲を住宅やビルが囲んでいる。
清華亭の室内には有島武郎、内村鑑三、新渡戸稲造、宮部金吾、ルイス・ボーマーらの足跡に関するパネルが展示されている。札幌農学校や北大の前身の東北帝国大学農科大学の関係者がこの清華亭の常連客であったことが説明されている。ここで、有島は「生まれ出づる悩み」のような文学作品で世に知られているけれど、北大の絵画サークル「黒百合会」の結成にも大きく貢献した美の人でもあった。
投稿者 esra : 2006年03月09日 02:44