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2006年03月10日
「恵迪寮跡」
著者がこの寮の寮生となったのは1960年なので、もう46年もの歳月が流れている。その間に新寮建設問題などを機に、学生の自治による生活の場か大学管理の厚生施設かで寮生と大学当局が長年にわたってもめ続けた。そして新しい寮が北大キャンパスのはずれに建設されて、昔の木造2階建て4棟からなる寮は取り壊され跡形もなくなってしまった。
冬の一日恵迪寮の跡地に立ってみると、昔寮があったところはグラウンドに変わっていて、それも雪で覆われている殺風景な景色である。年月の経過が景観をこうも変えてしまうのかと感慨深いものがある。かすかな記憶では寮の入り口に大きな松の木があって、その木かも知れないものを見つけた。しかし、本当にそれなのかと問われると自信が無い。
恵迪寮を残そうという運動の成果を「北海道開拓の村」に見ることができる。このテーマパークには写真の恵迪寮の建物が復元されている。玄関部分と二棟の寮、それをつなぐ廊下があり、中に入って見学できる。玄関から入ると明治45年度寮歌「都ぞ弥生」が入館者をセンスして流れてくる。訪れる見学者もなく、BGMの寮歌を聞きながらの復元された部屋や展示を見て歩くと、秘境感が漂う。因みに筆者が住んでいたのは「新寮」の60号室であったと記憶している。
当然ながら、復元された内部は実際のものと比べるときれいで整っている。入寮直後は人が住むところかと疑って、そのうち慣れてしまったあの現実の寮の再現はテーマパーク内では難しいことなのだろう。この寮をはじめ、ここに集められ復元された建物は本物に似せて造ってあっても、本物とはかなり乖離した点がある。これは現在に存在するものと過去の思い出の乖離に対応しているのかも知れない。
投稿者 esra : 2006年03月10日 01:48