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2006年03月12日
「札幌アートヴィレッジ」
札幌市は芸術と情報技術を融合させたハイテク産業の振興を目的にして、「札幌芸術の森」に隣接した「札幌アートヴィレッジ」を造成して3区画を分譲した。芸術の森は真駒内川に沿って広がり、札幌と支笏湖を結ぶ国道453号線沿いにある。常盤(ときわ)と呼ばれるところの山間部に各種の工房や展示場、野外ステージ、野外美術館などが点在している。
著者は、以前札幌の情報産業振興に関わっていて、純粋に芸術だけではなく、札幌で急成長しているゲーム関連企業のアニメ制作を行う場所を、芸術の森の付近に造成することなどを札幌市の関係者に提案した経緯がある。手塚治虫らの漫画家の梁山泊になった「トキワ荘」と同じ発音から、コンピュータで漫画を作るアニメ作家を集めた札幌の「常盤荘」を作っては、といった新聞コラムを書いたことなどもある。
そんな世の中の流れのなかで、札幌市は芸術の森の南側に総面積9万平米の中に3.6万平米を分譲地として造成した。緑豊かな場所で情報アート系の研究開発を行う企業誘致に名乗りを上げたのは、札幌を拠点にしてゲームで急成長をとげていたハドソンで、中央研究所をここに1992年に建てている。1993年にはファンハウスの録音スタジオとして札幌スタジオが完成している。
しかし、ハドソンは開発資金の調達等の問題を抱え、ゲームの大手コナミの傘下に入り中央研究所も整理されたはずである。ファンハウスの方もその後札幌での企業活動は中止しているのではなかろうか。3月の雪解け前にこのアートヴィレッジの様子を見に行ってみた。枯れ木の林を背後に社屋は空き家になっていて、雪に埋まっている。玄関まで行って屋内を覗いてみても企業活動の痕跡は見あたらない。この状況から、企業が残した札幌の秘境を確認しながら、企業の変遷に感慨深いものがあった。
投稿者 esra : 2006年03月12日 11:19