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2006年03月14日

「小麦研究記念碑」

 著者が学生であった頃北大の暖房は石炭であった。農学部と理学部の裏側に引き込み線があって、夏から秋にかけてこの引き込み線で工学部横の貯炭場に石炭が運び込まれるのが冬を迎える北大構内の風物詩であった。配給された石炭が足りなくなると、寮生の一員として、この引き込み線沿いに落ちている石炭をバケツに拾い集めた記憶がある。

 この引き込み線は、今はアスファルトの道路になっていて、よほどの年配者でなければ、かってここを石炭を満載して貨車が通過していったとは知らない。この道路に面して理学部の建物の横に写真の小麦研究の記念碑がある。記念碑の背景の遠くにJRタワーとJR札幌駅北口に建築が進行している高層ビルが写っている。

小麦研究記念碑A.jpg

 札幌農学校時代から北大は農学部が看板で、麦類の研究が行われ、坂村徹博士が小麦の正しい染色体数を明らかにしている。記念碑はこの染色体組の単位を図式化している。この研究を引き継いで、木原均博士が小麦の細胞遺伝学的研究でこの分野の新しい領域を切り開いた。これらの研究業績を讃える記念碑として、北大創基100年を機に1976年に建立されている。

 この碑の近くにはポプラ並木があり、観光客はこちらの方に流れるけれど、この記念碑を見に来る客はまずいない。かくいう著者さえ北大に勤務していた時に一度もこの碑を見に来たことはない。北大には記念碑が沢山あるけれど、この記念碑は北大の秘境の記念碑と位置づけてもよいだろう。

小麦研究碑説明A.jpg

投稿者 esra : 2006年03月14日 03:16

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