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2006年03月24日

「札幌平岸林檎園記念歌碑」

 雪の天神山緑地が秘境の景観を呈しているかどうか探索しに出かけた。地下鉄南平岸駅から白石藻岩通を折れて、平岸通を南に歩くと、この通りに面して三吉神社がある。この神社は菅原道真を祭っていて、札幌では由緒ある神社である。このあたりから天神山緑地が広がる。雪の季節にくると、緑地は当然ながら雪原になっている。標高85mでも天神山と呼ばれるように、小高くなっているこの地の雪原からは、豊平区の町並みを眺めることができる。

 天神山緑地の雪道を歩いていると「石川啄木歌碑」という案内標識が目に付いた。しかし、この歌碑がなかなか見つからない。見つからないのも当然で、三吉神社の裏手に入り込まないと雪をかぶった歌碑に行き当たらない。歌碑の傍に雪で埋もれた碑があって、雪をのけてみると表記のリンゴ園の記念碑の文字が刻まれている。リンゴ園を題材にして啄木が詠んだ歌を歌碑として残すことで、往年の札幌のリンゴ園の跡を伝えている。

啄木歌碑1A.jpg

 かって札幌市内のあちらこちらにリンゴ園があった。北大構内にもリンゴ園があった。平岸にあったものはこれらのリンゴ園の代表格であったはずである。都市化が進み、これらのリンゴ園も無くなって、この記念碑が昔のリンゴ園の存在を細々と伝えている。

 この歌碑にある啄木の歌は、啄木が函館・代用教員時代に知り合った橘智恵子について詠んだもので、智恵子の実家は当時札幌郊外で果樹園を経営していた。啄木とリンゴ園との直接の関係はないけれど、歌は札幌が大都会に変貌する以前の田園的雰囲気を伝えている。歌碑には写真にあるようにつぎのように刻まれている。
「石狩の 都の外の 君が家 林檎の花の 散りてやあらむ 啄木」

啄木歌碑2A.jpg

投稿者 esra : 2006年03月24日 01:34

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