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2006年03月29日

「ビルの歩道の石川啄木像」

 北大の正門を出て昔の電車通を南に進み、JR札幌駅の手前、住所では北7条西4丁目の角のビルの歩道とつながった部分に、写真の石川啄木の胸像が目立たなく置かれている。これは狭い空間であり、ビルを出入りする人が結構いて、場所だけなら秘境ではない。しかし、この歌人に興味のある人にとっては、意外にもこんなところに啄木のゆかりの場所があるかと、秘境感を感じる空間と言ってよい。

 ここに啄木の胸像があるのは、明治40年(1907年)21歳の啄木が札幌にやって来て、滞在した下宿がこの場所にあったことによる。啄木は札幌の印象を勤務先の「北門新報」に寄稿していて、それは「札幌は寔(まこと)に美しき都なり。」で始まっている。「秋風記」と題されたこの寄稿文は胸像の下部にはめ込まれている。啄木の札幌滞在は2週間ばかりで、その後小樽、釧路と北海道放浪が続くことになる。

ビル内の啄木像A.jpg

 啄木の胸像があるあたりは、JR札幌駅の西口の賑わいが及んで来ている。もし啄木が現在この近辺の様子を読むとしたら、「秋風記」に書かれているように「詩人の住むべき都会なり」とは表現しないだろう。しかして、今の札幌については何とコメントするだろうか。

 大通公園にある啄木坐像にもこの「秋風記」が、啄木の札幌を詠んだ歌「しんとして 幅廣き街の 秋の夜の 玉蜀黍の 焼けるにほひよ」と一緒に彫りこまれている。こちらの啄木像は、大通りの人通の多いところにあって、秘境感は微塵も無い。

ビル内啄木像2A.jpg

投稿者 esra : 2006年03月29日 04:01

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