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2006年05月03日
「ひふみみはなめ」
この施設のパンフレットにある「ひふで 耳で 鼻で 目で 感じる館です。」というキャッチフレーズだけなら、これは人の五感検査の施設かと錯覚する。五感のうち味覚がないのではないか難癖をつけたくなるが、前記のキャッチフレーズに続けて「口はあなたがふだん飲んでいる水・・・」とあって、ここが水に関する、つまり豊平峡ダムにあるダム博物館であり、その名前としてこじつけている。
GWの半ばの肌寒い週日に、豊平峡ダムまで車で行ってみた。訪れる観光客はほとんど居ないこともあって、ダムサイトから少し離れて隠れるようにして建っているこの施設を訪れたのは秘境探検隊のみで、秘境発見の少しばかりの興奮があった。予算をかけていると思うけれど、何のために、何ゆえこの場所に、五感を働かせるのを期待されるこの施設がなければならないか、五感をフルに働かせても感じ取ることができない。
2階建ての展示室の1階は、壁面に豊平川の成り立ち等の説明パネルがあって、ガランとした室内の中央には写真のようにスクリーンボックスがある。スイッチを入れると札幌が大都会に変身していく様子が豊平川との関係でスライドを用いて語られる。原子修の豊平川の詩の朗読なんかがあって、館名の発案同様、詩文の世界への思い入れが、博物館という学問的な世界とミスマッチを起こしている。
2階にはパソコンが並んでいて、これでダムの知識に接しなさいという意図らしいけれど、来館者がないところにPCが使われもせず並んでいるのは、どの施設でも共通の予算の使い方に窮した結果のようだ。写真のようなテーブルのあるコーナーもあって、ここで五感を働かせた成果でも語り合う場所を提供しているのかもしれないけれど、人がいなければ五感の出番もない。それにしても、利用されそうもなさそうな施設を造って、聞いただけでは見当もつかない「ひふみみはなめ」なんていう名前を付けているのは、その遊び心に脱帽である。
投稿者 esra : 2006年05月03日 01:10