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2006年05月21日
「札幌焼窯跡と旭山記念公園」
中央区界川4にあるこの公園は、今は無い札幌の地名を関する産業と縁の深いところである。札幌焼と呼ばれた陶器産業がそれで、近くの円山付近の粘土とここの沢水、森林のマキを利用して、1915年(大正4年)頃には北海道の陶器生産の拠点になって栄えた。しかし、本州から陶磁器の流入や札幌焼に関係していた企業の倒産とともに、大正期の終わりには札幌における陶器作りは衰退してしまった。
また、この公園付近は元々牧場があり、宅地化が始まり牧場が廃業していった後、1924年には界川1で札幌温泉が開業している。この温泉は定山渓から界川までコンクリート製の管で湯を持ってきて沸かし直して利用した。しかし、トラブルもあって、六年で営業を終える「幻の温泉」となった。その後1966年に市民記念植樹が始まり、都市計画に組み込まれて、札幌開基100年を記念して1970年には公園として開園している。現在は再整備工事が続けられている。
この公園は札幌市を一望にできる地の利の良さで、札幌の人気の公園の一つである。この点で場所的には秘境ではないけれど、前述のような歴史を振り返ると秘境にも組み込める。実際、写真のように札幌焼の窯跡が公園入り口のところに保存されている。
公園を訪れたのが早朝であったため、人通りもなく、少し小高いところから朝の大気に霞む札幌市の景色は見ごたえのあるものであった。5月の半ばで園内の八重桜が見事に咲いていて、花見と森林浴にも適した公園である。夜景もすばらしいとの評判で、秘境100線に夜景がないので入れておくのも良いかなと考えている。
投稿者 esra : 2006年05月21日 04:23