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2006年05月26日
「サクシュコトニ川の源流」
滔々と流れている川の源流のイメージは山間の沢の湧き水からの幾筋かの流れが集まり、小川の形になって行くといったところであろう。源流の流水が一番細く、下流に行くに従って豊かな水を湛えた流れになる、のが自然の川というものである。ところが大都会を流れる川はその逆の場合がある。
「サクシュコトニ川」と呼ばれる川が北大構内を流れている。川の名前にある「サクシュ」はアイヌ語で「浜の方を通る」で浜とは豊平川で、「コトニ」は窪地で、豊平川の近くの窪地を流れる川の意味だとの解説がある。現在は「コトニ」は「琴似」の漢字が当てはめられ、琴似は窪地の意味に由来しているのか、と新しく仕入れた知識である。
この川は写真のように北大の第一農場の縁を直線状で流れていて、その先は遺跡庭園を抜け、新しく出来た北18条に沿ったエルムトンネルの脇に川筋を作っている。しかし、ここら辺では水量が減っていて、トンネルの出口あたりでどこかに消えてしまっている。
川には流れる方向があるので、この川を上流方向に辿ってみる。農場から直角に曲がり、工学部横の大野池あたりでは水量を増している。さらに上流は弓道場の横の水路となり、北大構内にこんな水辺があったのかと思うぐらいに整備が行き届いていて、鴨などが遊んでいる。
さらにこの川は中央ローンを流れていて、その先のクラーク会館の近くの芝生に写真の水の放水口があり、ここで川は行き止まりとなる。つまり、このポンプで汲み上げた水がこの川の源なのである。源流ほど水量が多くて水の流れがはっきりしていて、それが草むらに隠れるような川となり、いつの間にか消えてしまう。まるで自然の川の逆向きを水が流れているようである。人工の川とはそういうものなのだろう。これは自然を再生したのではなく、人工的なものを新しく造りだしたと考えた方がよさそうだ。
投稿者 esra : 2006年05月26日 04:08