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2006年05月27日
「札幌市道路元標」
こんなに人通りの多いところに隠れるようにしてこの石碑があるのに気がついた。場所は写真のように旧北海道庁の門の脇である。石碑が写るように人通りが途絶えた時に写真を撮っているので、石碑の存在感がある。しかし、通常は通行人に隠されてしまっていて、ここに石碑があるとは気がつかない。
この石碑には「札幌市道路元標」と記されている。つまりは、札幌市の道路がここから始まる(あるいは終わる)ことを意味している。このような石碑があるのは、法律で設置が定められたことによる。その法律とは1919年(大正8年)に制定された道路法である。写真の元標に関する説明では1928年(昭和3年)に建てられて、1982年(昭和57年)に復元されている。法律の制定と実際の設置に年の開きがあるのは、いろいろ手間取ったせいとも考えられるけれど、詳しいことは知る由もない。
このような道路元標は札幌市となる前に札幌の村々にもあった証拠を東区の「札幌村郷土記念館」の玄関内で見つけた。写真のものがそれである。こちらは石の古さからみて復元されたものではなく、元の元標らしい。この記念館の付近の放っておかれたものを拾って来て置いてあるとのことである。他の村の道路元標は残っているのだろうか。
1952年(昭和27年)に新しい道路法(現行法)が出来て、元標を設置する必要が無くなってしまった。そのため、以後新しく元標が作られることはなく、昔の元標が復元されものが残っている札幌市のような例がある。このような事情を知ると、道路の歴史を刻んだ小さな秘境空間になっていると感じる。
それにしても、都市の中心とはどこにあるのだろうか。汽車が交通手段の中心であった時代には駅が都市の中心であったかも知れない。自動車時代になれば道路が主役で、道路の元標が都市の中心と言ってもよいかも知れない。しかし、新しく出来た市で元標が元々無い都市の場合には、道路の起点は簡単には定まらないだろう。さてそのような場合にはどこが都市の中心なのだろうか。
投稿者 esra : 2006年05月27日 02:13