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2006年06月29日
北大構内貯炭場の思い出
28日(水)にNHKの札幌秘境のTV録画撮りで、北大構内のかっての貯炭場への引き込み線跡を訪れ、北大から借りた構内を走るSLの雄姿の写真などを示しての取材でした。この写真で昔を思い出したので、2年前に出版した拙著の文章の抜粋と合わせてブログにアップしておきます(写真を調達してこられたのはNHKの河村ディレクターで写真を手に持っているのは磯野キャスターです)。
薄れかけて行く記憶の中で、楡影寮での生活が昔見た映画のシーンのように思い出されることがある。北大の冬場の暖房が石炭に頼っていた頃に楡影寮に住んでいて、工学部と楡影寮の間ぐらいに位置し、寮からすぐ近くに見えた貯炭場もそのシーンの一つとして甦る。
当時、北大の構内に引き込み線があって、冬が近づくとこの引き込み線を利用して機関車に引っ張られた貨物車で石炭が貯炭場に運ばれる。この貯炭場の石炭が北大内の石炭を焚く部署に配給され、石炭ストーブが暖房であった楡影寮にも配られていた。しかし、石炭はいつも足りなくなり、引き込み線の上にこぼれている石炭をバケツに拾って補充した事も記憶にある。
しかし、そんな事で石炭の補充がすまない状況で、目の前に黒々とした石炭の山を見れば次の行動は決まってくる。真夜中にバケツを片手に貯炭場に向かうのである。こんな不貞の輩から石炭を守るために、貯炭状の周囲は鉄条網が張られて、高い櫓の上に監視員がサーチライトもどきの電灯で夜通し監視を行っていた。この監視の目を盗んで、腹這いになりながら鉄条網をくぐっていく情景は、実際に体験したことより、何かの戦争映画のシーンを見て記憶に残っているのだ、と錯覚しそうになる。
(「魚眼で覗いたサッポロバレーと北大・青木研究室」(青木由直著、共同文化社、2004)より)
投稿者 esra : 2006年06月29日 08:40