2006年09月23日
昭和の森のクリの巨木
林野庁は全国の巨木から百本を選び「森の巨人達100選」としている。道内にはこの森の巨人として選ばれた巨木が十一本あり、そのうちの一本が野幌森林公園内にあるクリの巨木である。このクリの巨木の話は耳に入っていたので、秋が始まりかけた九月の下旬にこの目で確かめようと探しに出かけてみた。
南郷通から北星学園大学付属高校の横を通り森林公園に入る。札幌市の境界から森林公園内の道を江別市側に道なりに4kmほど進むと、この巨木の標識が目に入ってきた。標識には「昭和の森のクリ」とある。この森林公園が一九六八年(昭和四十三年)に自然公園法に基づいて道立自然公園として指定されたことから「昭和」が冠された森の名前になったのだろう。
この標識から百mぐらい森林の中を進むと、ロープで囲まれて、クリの巨木が現れる。これが森の巨人達に選ばれた巨木である説明板も立っている。説明板には、このクリの樹は樹齢推定八百年、樹高十八m、幹周四十五mとのデータが書かれている。
樹の下半身部分には枝が無く、太い幹ばかりで、幹の上部に枝が空に向かって伸びている。上部の枝の部分だけが緑の葉で覆われている。巨木と古木を重ねると、この枝ぶりと葉のつき具合になるようで、周囲の樹とは異なった雰囲気を醸し出している。
クリの樹というからにはこの季節、樹の周囲にクリのイガでもおちているかと探してみるのだけれどみつからない。クリも歳をとると実をつけることが無くなってくるのかな、それは生き物としての自然の摂理なのか、と不確かな考察である。
クリの巨木の幹は螺旋状に筋が重なっている。人間に例えれば年配者の皮膚に現れる皺に相当するだろう。巨木の幹に現れるこのような皺は見ごたえのあるものである。長い年月この樹が風雪に耐えて来ただろうと思うと、それは尊敬の対象ですらある。
しかし、人間の場合にはそのような感じからは遠くなるのが一般的である。鑑賞用(?)に人目に晒されるのは若者である。対して樹木では若木は見ても大して感動もしないけれど、老木には感情を移入できる。この差はどこからくるのかと、クリの巨木を眺めながらふと思った。
投稿者 esra : 2006年09月23日 17:48